2015年3月4日水曜日

Law & Order SVU - December Solstice  グロテスクな純愛

グロテスク…どう転んでもグロテスク。病んでるよ。アメリカの象徴かもしれない。幼い子供に銃を持たせようとする親に対してと同じくらい、理解の範疇を超えたずれた(としかいいようのない)感覚。

普段は見てないLaw & Order のいちエピソードを観た。理由は単純に愛しのおじいちゃま、ロバート・ヴォーンがゲスト出演してたので。
シーズン16エピソード16 December Solstice。日本で放映中なのが、シーズン14なのでこの話も、来年にはFOXで放映されることでしょう。


まぁ、犯罪ドラマなので、ばら色にはなり得ないけど、すごぉくやな感じ。
ここから先、もし、このドラマファンで、日本放映を待ち望んでいる方がいらっしゃったら、ご遠慮下さい。ネタバレ配慮一切しません。

おじいちゃまの役どころは高名な作家。数々の女性と浮名を流し、結婚も複数回。今は6番目の若妻と暮らしてます。

老作家の書籍。若きおじいちゃまのお写真が!

拡大版。やっぱり男前だわぁ。
と思ったら、ホントのご自伝から拝借していたのね
A Fortunate Life
あら、ちょっと笑顔度が違うかな?
別ショットかもしれないかしら

もう80歳になろうとする老作家の娘達から、父親に会わせて貰えない、現妻が、財産目当で子供を作ろうと、老いた父親に、無理やりセックスをさせている、レイプだと訴えが来ます。そこから調査が始まります。

老作家は既に心臓が悪いのに、ED処方薬を盛られ、やらされているのだと。
捜査官たちは老作家宅を訪ねるのですが、老作家はやや痴呆老人のよう? 娘の名前がすぐに出てこなかったリ、質問ははぐらかしてるんだかご愛嬌なんだか、曖昧な返答。家政婦にまで証言させ、娘たちは裁判所から面会許可をゲットします。
そうこうするうちに、老作家は心臓発作を起こし、救急車で搬送。
ところが皆が病院へ駆けつけた時には管を付けられ、絶対安静のはずの老作家は既に現妻に連れ出されていました。

捜索の果て、私設空港(そんなものがあるのですね)にて、自家飛行機でカナダへ向かおうとしていた老作家と現妻の身柄を確保。老作家は最寄りの病院に収容されます。

ですが、その晩老作家は亡くなります。皆が駆け付けた時には既に現妻はプロを手配して老作家の精子を取り出していました。妻として合法的に彼女にはそうできる権利があるのです。(もとは不測の事故などで夫に先立たれた未亡人の救済のための法律ですが)
そして現妻に殺人容疑がかけられます。絶対安静の老人を病院から連れだし寒空にさらして死に至らせたと。
裁判所で元妻側と検察側が喧々諤々、やりあっているなか、現妻、娘たちの携帯に老作家からのビデオメッセージが届きます。 老作家は3年も前に遺言を兼ねて、自分が死んだ暁にはビデオが家族に送られるように手配していたのでした。

ビデオメッセージ
こうしているとやっぱりダンディで素敵♡
ビデオの中身も裁判で衆目にさらされます。現妻が財産目当てに父を殺したと言わんばかりの娘たち、実は二人の娘のうちの一人と老作家の間にはかなり深い溝があったことがわかります。そして老作家が愛する現妻との平穏な生活を守るために娘たちとの接触を極力避けていたことも。

では、現妻の殺人幇助とも取れる行動はなんだったのか。

なぜ、ED薬をこっそりと老夫に盛っていたのか?
『だって彼はとっても誇らしげで嬉しそうだったのよ。薬の力を借りてるなんて知らないから、自分がまだまだ女性を悦ばせらことができるって』 
絶対安静の老人をなぜ、厳寒のカナダに連れて行こうとしたのか?
『彼は自分の死期が近いことを知っていた。でもそれに向かい合おうとしていた。彼は病院なんかで死にたくなかったのよ。だから二人の思い出のある、ケベックの湖に一緒に行きたかったのよ』
なぜ、精子を取り出したりしたのか?
『彼を愛していた。彼ほど素晴らしいはいないわ。だから彼の子供がどうしても欲しかったの』
財産目当てではないのか?
『違うわ。彼の子供が欲しかっただけ。』

父との確執の件を知らされていなかった娘と当事者娘も仲違いし始め、裁判は終結。若妻の容疑は晴れます。
老作家と若妻の体外受精は成功。子供を心待ちにほほ笑む若妻は美しい。老作家と若妻は心から愛し合っていたのでしょう。感動のラブストーリー。

でもその純愛に素直に感動できないの。どうしてもグロテスクに思えてうすら寒い。病んでいるとしか思えない。
グロテスクポイントは下記。
① 心臓の悪い富豪の老人にバイアグラ盛ってセックスをする若妻
② 80になっても女性を悦ばせるのは男として当然の義務とセックスを続ける老人。彼は義務感で、だけで6人の妻を含め、数えきれないほどの愛人とセックスをしていた?まるで強迫観念でもあるかのよう。彼は本当に女性を愛したの? 
③ 夫が死んだとたん、その道のプロを呼んで遺体から精子を取り出し、冷凍保存する妻。(合法行為)
④ 80歳の老人から取り出した精子の受精が順調に行ったと喜んでいる妻。私はカトリックではないけど、神様への冒涜のような気がした。 そして目的は本来違うのだけど、合法的に正しい行為なのがさらにブキミだ。
⑤ 受精成功とはいえ、80歳の老人の精子はどう考えても、遺伝子も老化を極めているはず。健常児が生まれる確率だって低そう。 それでも人工的に子供を作り出そうとする『純愛』は傲慢に思える。

おじいちゃまのぼけ老人っぷりが真に迫っており、ものすごく焦った。ほんの数か月前、マッカラムさんなんてダッシュで走ってたのに(あれも別の意味で驚愕だったけど)
しゃんとしたビデオメッセージの姿に、「あれ演技だったのよね、当然」と安堵しました。 でもあまりのお姿に泣きたくなったわよぉー。

そして若妻役のマルシア・クロスさん、私はほとんど知らないのだけど演技派ですねえ。ちょっとルース・ウィルソン連想しました。彼女の『カレったら、可愛いのよ♡』とのろけるかのような笑み!本当にそう信じてる感に溢れ、こわかった。
いや、演技派の彼らのおかげで純愛なのが感じられるから、こっちのおもう常識や感覚とのずれが余計にグロテスクに思えるの。

久々のおじいちゃま、ロバート・ヴォーンの登場はとっても嬉しかったけど、哀しくなってしまった。
おじいちゃまは素晴らしかったのに。

華麗なるペテン師たちは良かったなぁ、毎回くすくす笑って温かい気持ちでベッドに入れたもの。
なんかそういうレギュラーまたやって欲しいっ。待ってます。

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